INネパール 6日目 活動5日目
今日の活動は主に2つ。
①[Nationsl City]にて病院見学(9:00~15:00)
②Workshop on taking Medical History(16:00~18:00) です。
その他の時間は昨日までと同様、ご飯を食べたり、活動メンバーと話したり、プレゼンテーションの準備をしたりして過ごしていました。(が実際には①②の時間が伸びたり、予定通りではありませんでした(笑))
今日は全体的に天気の移り変わりが激しかった気がします。雨が急に降ったり、急にやんだり・・・。晴れていると思って外に出たら突如大雨になり、びしょ濡れになってしまいました(笑)
また、最初にこのホテルを見たとき、あまりの環境の悪さに気が滅入った記憶があります。が、ここのホテルスタッフは対応力が素晴らしいです!ほんの細かなことでも伝えればすぐに解決してくれます。もとは微妙ですが修正は素晴らしいです😅!
では主な活動について振り返りたいと思います。
まず①。今日は本当の意味で”医療の現場”を見学した気がしました。
病院名(正式)は[National City Hospital]。私が泊っているGlobal Hotelから歩いて数十秒で到着するほどの近さでした。外観はとても立派で、日本の大学病院のような感じです。もちろん、病院の中には様々な科がありますが、本日は昨日の夕方のactivityで講義してくださったDr.barun shretha(バルン・シュレスタ博士)(消化器内科)に付いて回るようにして見学しました。
具体的な見学内容は➊回診➋外来の診察➌胃カメラ➍大腸内視鏡検査 です。
・➊回診:病棟の入院患者のもとを医師が巡回して診療すること。医師1~2人、看護師2人を目安に患者さんの体調を確認していきます。
計6人(個室2人(M2)、二人部屋1人(F1)、大部屋2人(M1F1)、救急部屋1人(F1))
個室病棟⇒エアコン、扇風機あり。付添人用に黒い長椅子が置かれていた。日本と特に大きな違いは感じなかった。
二人部屋⇒ベットはすべて紫。二人部屋で知り合いではないのに、仕切りのカーテンがない。基本、病棟の中では電話禁止。患者さんは二人いたが、バルン・シュレスタ博士が診たのは一方の女性のみ。その女性は食中毒にあたったらしいが、今日退院できるらしい。
大部屋(medical department)⇒医師1~2人、看護師1人を目安に回診。多数の入院患者が一堂に集まっている。ベッドは50床ほど。エアコンがなく、扇風機が13台。すべての扇風機がかかっていたが、人も多く部屋も広いのでとても暑い。1つの空間で仕切りもなければトイレや洗面所なども共同使用。付添人の椅子も個室は長椅子だったが、大部屋では木の1人用いすだった。患者さん自身は寝ていたり、喋っていたり、ご飯を食べていたり日本とあまり変わらない(入院食のお皿は小学校の給食のような銀色の食器だった)
緊急部屋⇒救急で運ばれてきた患者さんが入院するための部屋?っぽかった。ベッドは10床以上あったがほとんどが空いていた。
回診の時、医師も看護師もパソコンを使わずに患者1人1人ごとにファイル化されていた(すべて手書きで記録していた)
National City Hospitalだけではないが、患者さんの前で、その人の病状などが説明された(→プライバシーはどうなっているのか?)。かつ、私たちが見学にきても患者さんは全く動じず、反応しなかった。
➋外来の診察:午前と午後で分かれている。午前の分は午前のはじめ、午後の分は午後のはじめに患者さんのカルテが医師の机に一気に置かれる。(追加せれることも多々あり)
<午前>→計13人(M5F8) <午後>→新規:計6人(M2F4)、午前の再診:計5人(M2F3)
補足:一気に13人とかではなく、区切りが良いところで内視鏡検査に行ったりと順番はバラバラだった。また午後の”再診”というのは午前に検査内容を決めて、その結果をまた話しに来るのが一般的だった。(患者さんの病状も時折教えてくれた)
診察は基本医師の個室部屋で行われる。(日本だと仕切りはあるものの奥に医療器具などが置いており、繋がっているイメージがあるが、ネパールの病院では完全個室で閉ざされている)
また、基本は1人5分程度。話だけの時もあれば、部屋にあるベッドを使って実際に状態を確認するときもある。ここで驚いたのは瞳孔を確認するときのライト。日本だとペンライトが一般的だが、ネパールでは20cm程度の懐中電灯を使っていた。
さらに、ある患者さんが診察中、医師に飲んでいる薬を見せていたが、あまりの大きさに驚いた。一錠あたり2cm程度で服用するのがとても難しかしそうだった。
そして一番印象深かったのがカルテについて。日本では電子カルテが普及されているが、ネパールの病院ではすべて紙媒体(しかも医師の机の横にはパソコンがあるのに😅)。患者さんの手帳的なものに、診察の回数ごとに増えていく記録表の紙が1枚づつプラスされていく。それらはすべて茶封筒でまとめられ、表紙には<ID No./Dr.name/Name/Address/Age/Sex/Contact No.>が記載されていた。
また、別の医師がバルン・シュレスタ博士に患者さんのことで相談しに来るときもあれば、患者自身がCMCにも通っているなど多種多様だった。
➌胃カメラ:上部消化管(食道・胃・十二指腸)の病気の診断などに使われる。
計3人(F1M2)
補足:男性のうち、一人は午前の診察にきていた人、もう一人は病名が確定している入院患者だった。また、実際に何をしているかの詳細を手書きしながら教えてくださった。
胃カメラを実施している検査室に初めて入ったため、基本見苦しかった(-_-;)。なんせ、患者さんは常に苦しそう…。
胃カメラを挿入しながら、胃液?っぽいのを洗浄しながら見やすくして検査していく。液体には透明と薄黄色の2種類があった。同じ部屋に検査機と検査台とは別に動画や写真を記録する用のパソコンが用意されている。(検査している医師とは別に、もう一人の医師がカルテを記録していた)
また、カメラを挿入しながら出血が確認されると、水を入れて洗浄しつつより奥に進んでいった。
3人中1人の病棟から運ばれてきた患者さんは、すでに胃の中が血まみれだった。そのため、この患者は検査ではなく、胃カメラと糸と針を使って出血点を縫合した。さらには腫瘍らしきものが胃の粘膜に2つこびりついてしまっていた。
➍大腸内視鏡:直腸から結腸もしくは回腸末端にかけて、診断・治療を行える器具のこと。
計3人(F1M2)
補足:男性のうち、1人は午前の診察に来た+胃カメラ検査をした人だった。また、実際に何をしているかの詳細を胃カメラと同じように、手書きしながら教えてくださった。
胃カメラも大腸内視鏡も行う部屋はどちらも同じ。1つの部屋に検査機1つ、記録用パソコン1つがある。そしてなんと、その機械は日本製品だった!(FUJIFILM/Ikegamiなど)
また、胃カメラと同様洗腸しながら進めていたり、患者さん自身もカメラを見ながら検査していた。
最初にも書いたように、今日は本当の意味で”医療の現場”を見学した気がしました。
まず、本日付いて回ったバルン・シュレスタ博士は超多忙。私が見学した9:00~15:00だけでも再診含め、36人もの患者さんを診てらっしゃいました。
なので、バルン・シュレスタ博士が仰るに、”患者さんの顔と名前、病気やその状態、何をするべきか”は必ず常に把握することが大切だそうです。(しかも、新規の患者さんは日に日に増えていく・・・)(その上、バルン・シュレスタ博士はとても親切で”質問が沢山ある”と言ったら気兼ねなく連絡先を教えてくださいました!)
また、ネパールでは日本とは違い、プライバシーの厳しさがそこまでありません。患者さんの病気を診察や治療しながら詳細まで教えてくれました。
一方、病院の環境面は日本と同じところ・違うところがはっきり分かれています。まず同じなのは検査機械。ほとんどの検査機器は性能が良いもので、内視鏡に関しては日本製品のメーカーを使ってました!(ただ、機械の台数は少ないほうだと思う)
次に違うのは回診や診察などのカルテ。ほとんど機械を使わずに、すべてが紙ベースでの記録でした。カルテは病院側が保存しているもの、情報整理がとても大変そうです。また呼び出しのコールも、番号や上からの声はなく、看護師さんが順々に行っていました。どちらもメリット・デメリットがありますが、ネパールのアナログさを身にしみて感じました。
最後に②。Workshop on taking Medical HistoryではDr.Toshita Mishraが”HISTORY TAKING”と題して、医療現場において患者さんの何が大切か(何に注目したり、何を把握するべきかなど)を講義してくださいました。
すべて英語なのでまた理解が難しかったですが、特に印象残っているのは
・患者さんの特徴で捉えるべきもの
⇒Name/Age/Sex/Occupation・Education/Religion/Address/Marital・Status
・患者さんが経験している痛みの性質「SOCRATES」
⇒Site(部位)/Onset(発症)/Character(特徴)/Radiation(放散)/Associations(関連)Time course(経過)/Exacerbating・Relieving factorsSeverity(悪化・緩和要因)
・患者さんの日常的な情報
⇒Sleep/Appetite/Bowel and bladder habit/Smoking/Alcohol/Drug abuse/Travel history/Sexual history
の3つです。他にも様々なことを教えてくださり、スライドでも分かりやすくまとめてくれていました。将来医療人を目指す一人として、知っていて得になる情報が多くとても貴重な経験になりました。